第8回 乙女の夢日記『星の瞳のシルエット』
〈恋愛〉より〈友情〉を重んじることが美学とされるのはどうしてなのでしょうか。
「友情は美しく、恋愛は浅ましい」そんな固定概念で塗り固められたこの世界。
己の恋のために友をないがしろにした人間は、裏切り者、人非人、色情狂と呼ばれ、とくに女子の間での糾弾にはものすごいものがあります。学校なんかでは軽く村八分、孤立を強いられること必至です。
男がらみの揉め事は修復不可能。……女の友情とは、ダイアモンドのように美しく強固な輝きを放ちながら、実際には氷のように冷たく脆い内部構造なのです。そんな諍い、みなさんも身に覚えのあることでしょう。
〈恋愛〉など〈性欲〉のおためごかしであり、それを優先する人間はすなわち「エゲツない性欲やで〜」(by徳井さん)。だからこそ秘められた恋心がドラマを生むのか。
そんな〈恋愛〉と〈友情〉の葛藤を、これでもかと読者に突きつけた漫画が『星の瞳のシルエット』です。

1985年〜1989年に連載された、「りぼん」を語る上で欠かせない少女漫画。
幼い頃にすすき野原で出会った男の子を未だに想い続けている中学生、沢渡香澄。彼女と彼女の親友2人の恋愛が成就するまでを描いた、さわかやマシュマロ学園物語です。
一目惚れした男の子、久住智史くんが、香澄の思い出の少年と同一人物だと知って、さぁ大変☆ 想いはますますつのるのに、彼女は親友の森下真理子のため恋心を隠し、押し殺そうとします。
この犠牲心が途轍もない。
星のかけらを受け取ったディステニーも振り切り、香澄は積極的に久住くんへアタックする真理子を応援し続けます。
ペルセウス座の流星群が降り注ぐ下という最強のシチュエーションで久住くんに告白されても、涙ながらに「ごめんなさい」。自分から振っておきながら、真理子に「あたし…ね 失恋しちゃった」と嘘の供述。さらに「告白してごらんよ」と背中を押して、久住くんと真理子をくっつけちゃいます。
あなたマゾですか? 両想いでありながら幸せを拒み、うざいほど親友の恋に尽力……。マザー・テレサ気取りか? いやいや、貧しい人のために尽力する精神には畏敬の念も耐えませんが、この一方的な自己犠牲は理解不能ですよ。尊敬もできなければ共感も覚えません。イケると思って告った久住くんがあんまりじゃねぇか!
「私の暗躍により、ふたりは偽りの恋に結ばれる……操られていることも知らずに。フフフ」そう、歪んだ優越感に浸るっているとしか思えません。自己満足、自尊心、悲劇のヒロインで塗り固められた犠牲行為。なんとおそろしい主人公でしょうか。
このような行動が美徳とされるのが少女漫画であり、当時の少女達の固定概念を形成していました。
今回、改めてこの作品を読んで驚きましたよ。中学高校の4年間、恋愛と友情についてしか描かれてないんですから。
全10巻が、3人娘の恋愛の道程にのみついやされている。他に何もない。何もしてないんです!
うーん、恋愛以外の一切を削ぎ落とすことで、作品を崇高なものに高めているんでしょうねぇ。宗教的な域にまで。
そんな聖域『星の瞳のシルエット』を、今年の「きなこ餅コミック」少女漫画部門(?)の締めとさせていただきました。
『ときめきトゥナイト』は少女達の非現実的な夢を詰め込んだ作品でしたが、現実的な夢、理想の自己像を描き表したのが、この作品。
個人的にはジブリ映画にもなった『耳をすませば』や、後の連載『銀色のハーモニー』の方が好きでしたが、一般にはこちらが作者の代表作となってます。何より「250万の乙女のバイブル」というコピーはあまりにもキャッチーすぎました。
現役の乙女も元乙女も、機会があればこのバイブルを手に取ってみてください。あまりのストイックさに思わず入信してしまうかもしれません。男性は……共感できる人がいたら驚きです。
いやはや、今の少女にとってのバイブルって何なんでしょうね。というか、そもそも「りぼん」が読まれているのかどうかが甚だ気になります。現在の発行部数が自分の読んでいた時期の6分の1なんて聞くと、熱心な元読者は悲しいよ、とほほ。
やはり、アタシらの時代は「ジャンプ」といい「りぼん」といい、名作に恵まれすぎてたんだなぁ。集英社に育てられて大きくなったようなもんですよ、ほんと。
これからもたくさんの少年少女を育んでくれよ! 子供たちのバイブル、それが「ジャンプ」と「りぼん」じゃないか! 栄光を、愛を取り戻せ!
……とまぁ、こんな感じで来年も漫画を語っていきたいと思ってる、ゆすらでした。
読んでくださってるみなさま、ありがとうございます。正月早々にも更新するぞ! では、よいお年を〜。
「友情は美しく、恋愛は浅ましい」そんな固定概念で塗り固められたこの世界。
己の恋のために友をないがしろにした人間は、裏切り者、人非人、色情狂と呼ばれ、とくに女子の間での糾弾にはものすごいものがあります。学校なんかでは軽く村八分、孤立を強いられること必至です。
男がらみの揉め事は修復不可能。……女の友情とは、ダイアモンドのように美しく強固な輝きを放ちながら、実際には氷のように冷たく脆い内部構造なのです。そんな諍い、みなさんも身に覚えのあることでしょう。
〈恋愛〉など〈性欲〉のおためごかしであり、それを優先する人間はすなわち「エゲツない性欲やで〜」(by徳井さん)。だからこそ秘められた恋心がドラマを生むのか。
そんな〈恋愛〉と〈友情〉の葛藤を、これでもかと読者に突きつけた漫画が『星の瞳のシルエット』です。

1985年〜1989年に連載された、「りぼん」を語る上で欠かせない少女漫画。
幼い頃にすすき野原で出会った男の子を未だに想い続けている中学生、沢渡香澄。彼女と彼女の親友2人の恋愛が成就するまでを描いた、さわかやマシュマロ学園物語です。
一目惚れした男の子、久住智史くんが、香澄の思い出の少年と同一人物だと知って、さぁ大変☆ 想いはますますつのるのに、彼女は親友の森下真理子のため恋心を隠し、押し殺そうとします。
この犠牲心が途轍もない。
星のかけらを受け取ったディステニーも振り切り、香澄は積極的に久住くんへアタックする真理子を応援し続けます。
ペルセウス座の流星群が降り注ぐ下という最強のシチュエーションで久住くんに告白されても、涙ながらに「ごめんなさい」。自分から振っておきながら、真理子に「あたし…ね 失恋しちゃった」と嘘の供述。さらに「告白してごらんよ」と背中を押して、久住くんと真理子をくっつけちゃいます。
あなたマゾですか? 両想いでありながら幸せを拒み、うざいほど親友の恋に尽力……。マザー・テレサ気取りか? いやいや、貧しい人のために尽力する精神には畏敬の念も耐えませんが、この一方的な自己犠牲は理解不能ですよ。尊敬もできなければ共感も覚えません。イケると思って告った久住くんがあんまりじゃねぇか!
「私の暗躍により、ふたりは偽りの恋に結ばれる……操られていることも知らずに。フフフ」そう、歪んだ優越感に浸るっているとしか思えません。自己満足、自尊心、悲劇のヒロインで塗り固められた犠牲行為。なんとおそろしい主人公でしょうか。
このような行動が美徳とされるのが少女漫画であり、当時の少女達の固定概念を形成していました。
今回、改めてこの作品を読んで驚きましたよ。中学高校の4年間、恋愛と友情についてしか描かれてないんですから。
全10巻が、3人娘の恋愛の道程にのみついやされている。他に何もない。何もしてないんです!
うーん、恋愛以外の一切を削ぎ落とすことで、作品を崇高なものに高めているんでしょうねぇ。宗教的な域にまで。
そんな聖域『星の瞳のシルエット』を、今年の「きなこ餅コミック」少女漫画部門(?)の締めとさせていただきました。
『ときめきトゥナイト』は少女達の非現実的な夢を詰め込んだ作品でしたが、現実的な夢、理想の自己像を描き表したのが、この作品。
個人的にはジブリ映画にもなった『耳をすませば』や、後の連載『銀色のハーモニー』の方が好きでしたが、一般にはこちらが作者の代表作となってます。何より「250万の乙女のバイブル」というコピーはあまりにもキャッチーすぎました。
現役の乙女も元乙女も、機会があればこのバイブルを手に取ってみてください。あまりのストイックさに思わず入信してしまうかもしれません。男性は……共感できる人がいたら驚きです。
いやはや、今の少女にとってのバイブルって何なんでしょうね。というか、そもそも「りぼん」が読まれているのかどうかが甚だ気になります。現在の発行部数が自分の読んでいた時期の6分の1なんて聞くと、熱心な元読者は悲しいよ、とほほ。
やはり、アタシらの時代は「ジャンプ」といい「りぼん」といい、名作に恵まれすぎてたんだなぁ。集英社に育てられて大きくなったようなもんですよ、ほんと。
これからもたくさんの少年少女を育んでくれよ! 子供たちのバイブル、それが「ジャンプ」と「りぼん」じゃないか! 栄光を、愛を取り戻せ!
……とまぁ、こんな感じで来年も漫画を語っていきたいと思ってる、ゆすらでした。
読んでくださってるみなさま、ありがとうございます。正月早々にも更新するぞ! では、よいお年を〜。
《冬コミ》宣伝!
宣伝更新です!
ニュースサイト『ゴルゴ31』のGOLGO31さんと、漫画評サイト『ヤマカム』の山田さんが冬コミで同人誌を出されます。
どちらも漫画好きなら一度はたどり着いたことのある大手サイトですね。
その本に、これまた大手漫画レビューサイト『マンガがあればいーのだ。』のたかすぃさんが寄稿されています。
コラムタイトルは「僕といちごパンツと河下水希先生」!
ゆすら榛梧はその記事にイラストで参加させてもらいました。たくさんの河下絵(パンツ絵)を描けて楽しかったです。

アタシは冬コミには行けませんが、参加される方は是非お手に取ってみてください。
『ゴルカム -思いのままにPCでスラスラ 2006年冬-』
12月31日(日) 東地区 Sブロック 26a「ゴルカム」
冬コミ用ブログ『ゴルカム』も作られてますので、詳細はそちらにて(豪華執筆人すぎて瞬殺かもしれませんが……)。
正月明けに読むのが楽しみです〜。
ニュースサイト『ゴルゴ31』のGOLGO31さんと、漫画評サイト『ヤマカム』の山田さんが冬コミで同人誌を出されます。
どちらも漫画好きなら一度はたどり着いたことのある大手サイトですね。
その本に、これまた大手漫画レビューサイト『マンガがあればいーのだ。』のたかすぃさんが寄稿されています。
コラムタイトルは「僕といちごパンツと河下水希先生」!
ゆすら榛梧はその記事にイラストで参加させてもらいました。たくさんの河下絵(パンツ絵)を描けて楽しかったです。

アタシは冬コミには行けませんが、参加される方は是非お手に取ってみてください。
12月31日(日) 東地区 Sブロック 26a「ゴルカム」
冬コミ用ブログ『ゴルカム』も作られてますので、詳細はそちらにて(豪華執筆人すぎて瞬殺かもしれませんが……)。
正月明けに読むのが楽しみです〜。
第7回 ピュアホワイト野郎『君に届け』
やっとこさ更新!
さて、ちょいと古い少女漫画を取り上げてきましたので、今回は現在進行形の少女漫画をば。

『君に届け』。
「別冊マーガレット」にて絶賛連載中。単行本は2巻まで発売され、今後もどんどん続きそうな予感の作品です。
先日出た『このマンガがすごい!2006・オンナ版』では、颯爽と現れ2位に輝いたダークホース。今最も注目されている、純・少女漫画なのです。
日本人形のような暗く重苦しい容姿のため、まわりから「貞子」と呼ばれ疎まれる女子高生、黒沼爽子(くろぬまさわこ)。
そんな彼女と、彼女を支える男の子や、次第に親しくなっていくクラスメイトたちが集まる高校が、物語の舞台。真っ当な学園物です。
急速に注目を浴びている理由は、一にも二にも登場人物たちのピュアさ! それはもう目映すぎで、少女時代から汚れ擦り切れちまってたアタシには直視できない、おぞましい純粋さです。
まずは主人公の爽子。
容姿と声のイメージだけで陰気と決めつけられ、霊感少女だの3秒以上目が合ったら呪われるだのと、貞子の名をほしいままに噂を広められる不憫な日々。しかし彼女は決してめげず、恨み言のひとつももらさず前向きに周囲と馴染もうとします。
「一日一善」をモットーに、皆がいやがる仕事も進んで立候補。日課は掃除とゴミ拾い。
ありえない。そんな孤立を強いられ蔑まれたら、人間ぜったい歪みます。うらみ、ねたみ、そねみ、自尊心を保つ為に周囲を凡庸で愚劣な民と見なし、日夜呪い帳を黒く塗りつぶしてはライターで虫を炙り悦にひたる……。それが当然の反応ではありませんか?
どんなに元気で明るい主人公でも、少しは誰かを憎む描写があるもの。それが、ナイ。根暗なイニシエーションを爽子はひとつも踏襲しません。それどころか、クラスメイトの先入観に応じようと、熱心に怪談を覚えようとする始末。
本当に人の子か! 虚構を通り越して偶像! 神々しすぎる!
だけど、ぜんぜん嫌味じゃないんです。あまりにも完璧すぎると読者はついていけなくなるもんですが、彼女の健気さは素直に応援できる。そんな不思議な魅力を持つ少女が、爽子なのです。
ま、詳しいレビューは『マンガがあればいーのだ。』さんのレビューをご参考に。
アタシもこの記事がきっかけで購入したので、読めば爽子の魅力がよ〜くわかります。
んじゃ、アタシの記事いらねーじゃん。『君に届け』の何を伝えるつもりなの?
そこはそれ、ずばりヒロインでなくヒーローです! 爽子を気にかけ、常に支えてくれる同じクラスの男の子、風早翔太(かぜはやしょうた)をフィーチャーしたいと思います。

何を隠そう、そのピュアっぷりにアタシが一番驚かされたのは爽子でなく翔太くん。
少女漫画のヒーローは過去に多く見てきましたが、これはなかった。この優しさ、真っ直ぐさ、行動力は異例です。ほんまにチンコついとんのかいな! 無理矢理ズボンずり下ろして確かめたくなるほどの紳士っぷり!
爽子がクラスメイトからくだらない冷やかしを浴びたときは、「黒沼は女の子なのに …笑えない」と堂々と打ち消し、みんなが爽子の隣を嫌がる席替えの時は、無言で机を隣へ移動する男らしさ。
陰ながら支えるのではなく、かなり積極的に爽子の心を揺り動かし、クラスメイトとの仲を取り持ちます。感動した爽子が涙すると、帰り道に顔をのぞきこんで「あっ、泣いてなかった!」とニッコリ。
このズカズカ入ってくる感じー! 1歩間違えれば無神経と取られかねないが、ハートわしづかみですよー!
橋渡し役を買って出ながら、爽子の良さが周囲に知られだすと「今の(笑顔)は俺にちょうだい ひとりじめ」なんて独占欲を示したりして……女殺しー!
2巻では「自分が近付くと迷惑をかける」と、爽子は翔太や親しくなりだした友達を避けようとします。漫画的には、避けられた方も「嫌われたのか」と避けるようになり、すれ違いの日々がはじまるのが定石。ところが、翔太はすかさず「昨日へんだった! 俺もしかしてなんかした?」と、単刀直入に問いただします。じらしゼロ!
誤解が解けると心から安心し、「絶対もう(避けたら)だめ!」と笑顔で言っちゃうとこはもう……後光が射してます。
ありえないですね。本当に、このすさんだ現代に生きる男の子なのかと。精通を経て朝勃ちに悩み、オナニーに明け暮れてる男子高生なのかと。
主要人物がことごとくピュアホワイトな『君に届け』ですが、こいつが最もホワイト! というかチンコがピュアホワイト! たぶんペガサスみたいな神々しいチンコをしてるんでしょうね。白い羽に包まれて夜空を駆け巡る勢いの。それぐらい超然としているんです。
それはアタシの知ってた少女漫画のヒーロー像とは、あまりにもかけ離れていました。
アタシの時代といえば、「無口でキザでちょっぴり悪だけど、決めるとこは決める」ヒーローが主流でした。
『天使なんかじゃない』も『ときめきトゥナイト』も、主人公のピュアさはともかく、王子役といえば何を考えてるのかわからない不良。とくに『天ない』の須藤晃は主人公と付き合っておきながら以前の片想いを引きずりまくり、「バイト入ってるから」と嘘をついて女教師の誕生日に隠れてデートするという……普通に非道です。もちろん当時の少女も「最低!」と憤慨しましたが、今考えれば「男なんてそんなもの」という現実を、少女漫画なのにちゃんと教えてくれて親切だったなーと思います。王子と言えど人の子。そして、男。
今時の漫画は昔よりすれて、女子も男子もけっこう不純なのかなと思っていたのですが、真逆。純真無垢の境地へと駆け登っていました。これはビックリですよ。
風早翔太くんはどこを探しても見つからないであろう、聖人君子。
これに多感な思春期に熱狂してしまったら、後々現実とのギャップに苦しまないでしょうか? おばさんは思わず老婆心が働きますよ。夢物語とわかって楽しんでるのならいいんですけど、理想になったら酷だぞ〜。
煩悩を解脱したニルヴァーナな翔太くんですが、しっかり人間味もあります。それは、優しすぎても、ちゃーんと分をわきまえているところ。
爽子と女友達の間の溝を知っても、いけしゃあしゃあとでしゃばりません。「……でもこれは俺じゃだめだから あいつらじゃないと意味ねーから」と、当人らに任せて耐えるんです。カ・ワ・イ・イ♪
作者の技量がこなれてないのも良い点ですね。「作ってる」雰囲気、策略を感じさせないんです。こんなにデキスギてるのに、キャラクターを自然に魅せることに成功している。このさじ加減は絶妙なのですよ。
純粋な少年少女を見たいなら、『君に届け』へ。
1巻では爽子と翔太の話、2巻では女同士の友情について描いているのもうれしい。恋愛ばかりが少女漫画に非ず!
たぶん3巻以降に展開するであろう、日本人形vsフランス人形にも期待。10年振りに、発売が待ち遠しい少女漫画の登場です。
さて、ちょいと古い少女漫画を取り上げてきましたので、今回は現在進行形の少女漫画をば。

『君に届け』。
「別冊マーガレット」にて絶賛連載中。単行本は2巻まで発売され、今後もどんどん続きそうな予感の作品です。
先日出た『このマンガがすごい!2006・オンナ版』では、颯爽と現れ2位に輝いたダークホース。今最も注目されている、純・少女漫画なのです。
日本人形のような暗く重苦しい容姿のため、まわりから「貞子」と呼ばれ疎まれる女子高生、黒沼爽子(くろぬまさわこ)。
そんな彼女と、彼女を支える男の子や、次第に親しくなっていくクラスメイトたちが集まる高校が、物語の舞台。真っ当な学園物です。
急速に注目を浴びている理由は、一にも二にも登場人物たちのピュアさ! それはもう目映すぎで、少女時代から汚れ擦り切れちまってたアタシには直視できない、おぞましい純粋さです。
まずは主人公の爽子。
容姿と声のイメージだけで陰気と決めつけられ、霊感少女だの3秒以上目が合ったら呪われるだのと、貞子の名をほしいままに噂を広められる不憫な日々。しかし彼女は決してめげず、恨み言のひとつももらさず前向きに周囲と馴染もうとします。
「一日一善」をモットーに、皆がいやがる仕事も進んで立候補。日課は掃除とゴミ拾い。
ありえない。そんな孤立を強いられ蔑まれたら、人間ぜったい歪みます。うらみ、ねたみ、そねみ、自尊心を保つ為に周囲を凡庸で愚劣な民と見なし、日夜呪い帳を黒く塗りつぶしてはライターで虫を炙り悦にひたる……。それが当然の反応ではありませんか?
どんなに元気で明るい主人公でも、少しは誰かを憎む描写があるもの。それが、ナイ。根暗なイニシエーションを爽子はひとつも踏襲しません。それどころか、クラスメイトの先入観に応じようと、熱心に怪談を覚えようとする始末。
本当に人の子か! 虚構を通り越して偶像! 神々しすぎる!
だけど、ぜんぜん嫌味じゃないんです。あまりにも完璧すぎると読者はついていけなくなるもんですが、彼女の健気さは素直に応援できる。そんな不思議な魅力を持つ少女が、爽子なのです。
ま、詳しいレビューは『マンガがあればいーのだ。』さんのレビューをご参考に。
アタシもこの記事がきっかけで購入したので、読めば爽子の魅力がよ〜くわかります。
んじゃ、アタシの記事いらねーじゃん。『君に届け』の何を伝えるつもりなの?
そこはそれ、ずばりヒロインでなくヒーローです! 爽子を気にかけ、常に支えてくれる同じクラスの男の子、風早翔太(かぜはやしょうた)をフィーチャーしたいと思います。

何を隠そう、そのピュアっぷりにアタシが一番驚かされたのは爽子でなく翔太くん。
少女漫画のヒーローは過去に多く見てきましたが、これはなかった。この優しさ、真っ直ぐさ、行動力は異例です。ほんまにチンコついとんのかいな! 無理矢理ズボンずり下ろして確かめたくなるほどの紳士っぷり!
爽子がクラスメイトからくだらない冷やかしを浴びたときは、「黒沼は女の子なのに …笑えない」と堂々と打ち消し、みんなが爽子の隣を嫌がる席替えの時は、無言で机を隣へ移動する男らしさ。
陰ながら支えるのではなく、かなり積極的に爽子の心を揺り動かし、クラスメイトとの仲を取り持ちます。感動した爽子が涙すると、帰り道に顔をのぞきこんで「あっ、泣いてなかった!」とニッコリ。
このズカズカ入ってくる感じー! 1歩間違えれば無神経と取られかねないが、ハートわしづかみですよー!
橋渡し役を買って出ながら、爽子の良さが周囲に知られだすと「今の(笑顔)は俺にちょうだい ひとりじめ」なんて独占欲を示したりして……女殺しー!
2巻では「自分が近付くと迷惑をかける」と、爽子は翔太や親しくなりだした友達を避けようとします。漫画的には、避けられた方も「嫌われたのか」と避けるようになり、すれ違いの日々がはじまるのが定石。ところが、翔太はすかさず「昨日へんだった! 俺もしかしてなんかした?」と、単刀直入に問いただします。じらしゼロ!
誤解が解けると心から安心し、「絶対もう(避けたら)だめ!」と笑顔で言っちゃうとこはもう……後光が射してます。
ありえないですね。本当に、このすさんだ現代に生きる男の子なのかと。精通を経て朝勃ちに悩み、オナニーに明け暮れてる男子高生なのかと。
主要人物がことごとくピュアホワイトな『君に届け』ですが、こいつが最もホワイト! というかチンコがピュアホワイト! たぶんペガサスみたいな神々しいチンコをしてるんでしょうね。白い羽に包まれて夜空を駆け巡る勢いの。それぐらい超然としているんです。
それはアタシの知ってた少女漫画のヒーロー像とは、あまりにもかけ離れていました。
アタシの時代といえば、「無口でキザでちょっぴり悪だけど、決めるとこは決める」ヒーローが主流でした。
『天使なんかじゃない』も『ときめきトゥナイト』も、主人公のピュアさはともかく、王子役といえば何を考えてるのかわからない不良。とくに『天ない』の須藤晃は主人公と付き合っておきながら以前の片想いを引きずりまくり、「バイト入ってるから」と嘘をついて女教師の誕生日に隠れてデートするという……普通に非道です。もちろん当時の少女も「最低!」と憤慨しましたが、今考えれば「男なんてそんなもの」という現実を、少女漫画なのにちゃんと教えてくれて親切だったなーと思います。王子と言えど人の子。そして、男。
今時の漫画は昔よりすれて、女子も男子もけっこう不純なのかなと思っていたのですが、真逆。純真無垢の境地へと駆け登っていました。これはビックリですよ。
風早翔太くんはどこを探しても見つからないであろう、聖人君子。
これに多感な思春期に熱狂してしまったら、後々現実とのギャップに苦しまないでしょうか? おばさんは思わず老婆心が働きますよ。夢物語とわかって楽しんでるのならいいんですけど、理想になったら酷だぞ〜。
煩悩を解脱したニルヴァーナな翔太くんですが、しっかり人間味もあります。それは、優しすぎても、ちゃーんと分をわきまえているところ。
爽子と女友達の間の溝を知っても、いけしゃあしゃあとでしゃばりません。「……でもこれは俺じゃだめだから あいつらじゃないと意味ねーから」と、当人らに任せて耐えるんです。カ・ワ・イ・イ♪
作者の技量がこなれてないのも良い点ですね。「作ってる」雰囲気、策略を感じさせないんです。こんなにデキスギてるのに、キャラクターを自然に魅せることに成功している。このさじ加減は絶妙なのですよ。
純粋な少年少女を見たいなら、『君に届け』へ。
1巻では爽子と翔太の話、2巻では女同士の友情について描いているのもうれしい。恋愛ばかりが少女漫画に非ず!
たぶん3巻以降に展開するであろう、日本人形vsフランス人形にも期待。10年振りに、発売が待ち遠しい少女漫画の登場です。
番外アニメ編『ホームズ』と『ミンキーモモ』
すみません!
ただいま多忙につき、漫画を読めない日々が続いております。アタシとしたことがなんたること。語りたい作品(どれも古い)は数あるのに、悶々と欲求不満です。
先週からひたすらPCにはりついているか、寝まくっているだけの生活であります(どんなに切羽詰まっても必ず寝過ごす自分がねたましい)。
そんな事情により、今回は番外編としてマンガレビューでなくアニメレビューをさせていただきましょう。
漫画を読む時間はないのにアニメを視る時間があるとは何事ぞ?
いやはや、PC画面の左半分で動画、右半分で原稿を書くなんてことやってるから、なかなか仕事がはかどらないんですね〜。この、うすらトンカチ!
今ハマっているのが、YAHOO動画の『名探偵ホームズ』です。
かの偉大なる探偵、シャーロック・ホームズたちが犬の姿で繰り広げる、ドタバタ痛快アニメ。宮崎駿が監督・演出を務めていたことで有名ですね。

宮崎アニメが好きなアタシですが、恥ずかしながら『ホームズ』をしっかり視るのは今回が初めて。
コミカルでわかりやすい物語、人間味あふれるキャラクターたちに、今更ながらドキドキワクワクです。
宮崎節の躍動感が、広川太一郎の声がたまりませんな!
昔の宮崎アニメには、後のジブリ映画の原点となっている場面をよく見受けるものですが、もちろん『ホームズ』も例外ではありません。
メイがいる〜。パズーがいるよ〜。
モリアーティの部下はドーラの息子みたいだし、誘拐されたハドソン夫人はまるでシータ。ハンドルさばきはドーラ顔負けだ〜。
こんな名作が、すきな時間にすきなだけ、TSUTAYAに行かずとも視聴できるのですから、良い時代になったもんです。
動画というとYouTubeの猛威が計り知れない昨今ですが、YAHOO動画もなかなかどうして。途中にCMが入のですが、クリアな画像と音には感謝感激ですよ。
現在配信中の1話〜6話は、12月中に配信が終了してしまいます。
まだご覧になっていない方、懐かしみたい方は是非々々。とくに、宮崎駿が携わった3・4・5話は必見ですよ! テンポがすごい!
さて、仕事が片付かないというのに、もうひとつハマっている作品があります。『魔法のプリンセス ミンキーモモ』。幼少の頃、もっとも熱中していた魔女ッ子アニメです。

主人公のモモはもちろんのこと、お付きの3匹や、パパ&ママ、王様&王妃様の個性豊かなこと! 今でも生き生きと輝く、思い出深い作品です。
何より、最終回が……。(厳密には46話ですけど)
それはあまりにも衝撃的な展開で、幼かった当時のアタシにはとても受け止められる内容ではなく、長らく心の奥底へと封印していました。
やがて、「あの最終回は本当にあったんだろうか。ただの悪夢だったのでは?」と思い返すようになり、風の噂でまごうことなき現実だと知っては、トラウマを甦らせたりしてました。
その問題の最終回も先日配信され、20数年ぶりに再びお目にかかったわけです。
うーん、大人になって視ると、素晴らしい最終回じゃぁ、あーりませんか。
夢の国の使者として使命を持つモモが、人間界での暮らしで得た感情、気持ちの変化。生まれた疑問が見事に昇華されています。
何より、スタッフの愛とこだわりがイヤってほど感じられる。まぁでも、赤子同然だったアタシにはただただショックだったわけで。子供にあれはわかりませんわ。
この2作品、YAHOOではどちらも無料番組なのがありがたーい。
しかしラインナップを見てると、有料にも手を出したくなりますな。ぐわ、集中力がどんどん左へ、さらに進まぬ原稿……。
う〜ん、なるようになるダバないダバさ〜。
ただいま多忙につき、漫画を読めない日々が続いております。アタシとしたことがなんたること。語りたい作品(どれも古い)は数あるのに、悶々と欲求不満です。
先週からひたすらPCにはりついているか、寝まくっているだけの生活であります(どんなに切羽詰まっても必ず寝過ごす自分がねたましい)。
そんな事情により、今回は番外編としてマンガレビューでなくアニメレビューをさせていただきましょう。
漫画を読む時間はないのにアニメを視る時間があるとは何事ぞ?
いやはや、PC画面の左半分で動画、右半分で原稿を書くなんてことやってるから、なかなか仕事がはかどらないんですね〜。この、うすらトンカチ!
今ハマっているのが、YAHOO動画の『名探偵ホームズ』です。
かの偉大なる探偵、シャーロック・ホームズたちが犬の姿で繰り広げる、ドタバタ痛快アニメ。宮崎駿が監督・演出を務めていたことで有名ですね。

宮崎アニメが好きなアタシですが、恥ずかしながら『ホームズ』をしっかり視るのは今回が初めて。
コミカルでわかりやすい物語、人間味あふれるキャラクターたちに、今更ながらドキドキワクワクです。
宮崎節の躍動感が、広川太一郎の声がたまりませんな!
昔の宮崎アニメには、後のジブリ映画の原点となっている場面をよく見受けるものですが、もちろん『ホームズ』も例外ではありません。
メイがいる〜。パズーがいるよ〜。
モリアーティの部下はドーラの息子みたいだし、誘拐されたハドソン夫人はまるでシータ。ハンドルさばきはドーラ顔負けだ〜。
こんな名作が、すきな時間にすきなだけ、TSUTAYAに行かずとも視聴できるのですから、良い時代になったもんです。
動画というとYouTubeの猛威が計り知れない昨今ですが、YAHOO動画もなかなかどうして。途中にCMが入のですが、クリアな画像と音には感謝感激ですよ。
現在配信中の1話〜6話は、12月中に配信が終了してしまいます。
まだご覧になっていない方、懐かしみたい方は是非々々。とくに、宮崎駿が携わった3・4・5話は必見ですよ! テンポがすごい!
さて、仕事が片付かないというのに、もうひとつハマっている作品があります。『魔法のプリンセス ミンキーモモ』。幼少の頃、もっとも熱中していた魔女ッ子アニメです。

主人公のモモはもちろんのこと、お付きの3匹や、パパ&ママ、王様&王妃様の個性豊かなこと! 今でも生き生きと輝く、思い出深い作品です。
何より、最終回が……。(厳密には46話ですけど)
それはあまりにも衝撃的な展開で、幼かった当時のアタシにはとても受け止められる内容ではなく、長らく心の奥底へと封印していました。
やがて、「あの最終回は本当にあったんだろうか。ただの悪夢だったのでは?」と思い返すようになり、風の噂でまごうことなき現実だと知っては、トラウマを甦らせたりしてました。
その問題の最終回も先日配信され、20数年ぶりに再びお目にかかったわけです。
うーん、大人になって視ると、素晴らしい最終回じゃぁ、あーりませんか。
夢の国の使者として使命を持つモモが、人間界での暮らしで得た感情、気持ちの変化。生まれた疑問が見事に昇華されています。
何より、スタッフの愛とこだわりがイヤってほど感じられる。まぁでも、赤子同然だったアタシにはただただショックだったわけで。子供にあれはわかりませんわ。
この2作品、YAHOOではどちらも無料番組なのがありがたーい。
しかしラインナップを見てると、有料にも手を出したくなりますな。ぐわ、集中力がどんどん左へ、さらに進まぬ原稿……。
う〜ん、なるようになるダバないダバさ〜。
第6回 少女の夢日記『ときめきトゥナイト』
30歳以上の女性に「初恋の人は?」とアンケートすれば、誰が1位になるでしょうか。
同級生? 先生? アイドル? いえいえ、もっと身近で、もっと手の届かない王子の名がトップに輝くことでしょう。元・少女達の永遠の憧れといえば――
真壁俊。
いくつのハートが彼によって奪われたでしょうか。
不良で無口で冷たくて、だけど動物には優しい母子家庭の高校生。つれないけれど決めるところはガッチリ決めるボクサー部の二枚目。
あの時代の少女の憧れを見事に具現化させたのが、誰あろう真壁俊でありました。
まず名前からしてイケメンオーラを放ってます。「まかべ」ときて「しゅん」。甘く引き締まった響きと漢字……。史上最強の組み合わせじゃないですか? 呼びたくなりますよね、「まかべく〜んっ」って!
そんな破壊力を持った名を実際に生まれ持ってしまった男子は不幸ですけどね。死ぬまで周りの期待と戦わねばなりません。十中八九、名前負け。お察しします。
そんな女の子の夢と憧憬を神技で叶えた漫画が『ときめきトゥナイト』です。

1982年から1994年まで「りぼん」に掲載された長期連載漫画です。
3部で構成され、みんなの心に多く残っているのが、やはり江藤蘭世がヒロインだった1部。
ヒーローの真壁俊を筆頭に、ありとあらゆるオイシイ設定がてんこもりでした。全国の少女は枕をヨダレで濡らし読んでいたものです。
今回は、そんな『ときめきトゥナイト』1部から、少女の心臓を貫いた「ときめき設定」10コを挙げてみようかと思います。題して《スーパーラブローション10連射》。スマシタイマヤジオトイヨチ〜。
1ラブ 狼女と吸血鬼の娘
魔法使いだとか宇宙人だとかは、もう子供っぽいご時世。ちょっぴり大人びた西洋の御伽話からおいしい要素だけを抽出し異種間交配させた主人公は、設定だけで勝ったも同然でしょ?
これが現代の世界で正体がばれないように生活すんだから、トキメティックが止まらない!
ロマンスグレーな父親が棺で寝るだけでカッコイイし!
2ラブ 江藤蘭世(えとう らんぜ)
作者、池野恋の命名センスは神か?
真壁俊といい江藤蘭世といい、どうしてこうもステキ名前が思いつくのでしょう。
フランス語で「見知らぬ人」という意味の「エトランゼ」は、そんな由来すら当時の少女には眩しかったのです。
3ラブ 噛みついた相手の姿に変身できる
吸血鬼という設定を「変身もの」に応用するこの手際のよさ!
これで「アッコちゃん」から綿々と続く「変身少女漫画」のハプニングや醍醐味をラブコメに取り込めます。あったまいー!
小鳥に変身して真壁くんからミルクをもらったり、身体検査をしたり、一緒にお風呂に入ったりしちゃうんですよ? 妄・想・全・開!
4ラブ まるいものを見ると狼耳と尻尾がはえる
狼女という設定を「けもの耳」属性にする手腕の逞しさ!
「猫耳萌え」なんて言葉のなかった時代に、この先読みっぷり! 黒髪ストレートにはえた耳の愛らさったらがたまらんですよ。
黒マントとけもの耳の配合って最高じゃん?
5ラブ 人気俳優に一目惚れされる
いい人すぎた筒井圭吾くんです(人気俳優になるのは後々ですけど)。
片想いがすぐ実っては少女漫画として成り立ちませんが、延々と想いっぱなしはつらいもんです。読む少女もつらいです。
そこで、意中のヒーローに引けを取らない容姿端麗な男性に好かれると。そうすればつらい恋心も癒され、自尊心も満たされます。相手はみんなが夢中になってるアイドル。しかも勝手にキスされちゃったりなんかしちゃったり。もてる女はつらいわ〜。
6ラブ 真壁くんが実は魔界の王子だった
王子は名実ともに王子だった!
「○○界のプリンス」という最高級の肩書きは、やはりヒーローには必須のようです。お国は「怪物ランド」ですけど。
とはいえ魔界人と人間という、道ならぬ恋に悩み苦しむのが、この作品の命題でした。彼が同じ魔界人になっては、必要不可欠な障害がなくなってしまいます。
そこで「実は魔界を追放された王子で、見つかれば殺される」という設定が+αされるわけです。この設定の乗せ具合が、うまいうまい。VIPに仲間入りしたあげく、「ロミオとジュリエット」境遇も持続されるという按配。
「彼とわたしはみんなと違う」という選民意識を満たしながら、新たな障害で恋も燃やす。……デキスギですね。
7ラブ 双子の王子に一目惚れされる
「双子の世継は凶兆。禍根を断つため一方は抹殺される」という、古来からある悲運な設定に乙女は弱いもの。
真壁くんがその片割れという真実だけでも垂涎ものなのに、さらにもう一方のアロン王子から、蘭世は激しいアタックを受けちゃいます。
王子ふたりの心を独占しちゃうなんて、これ以上豪華なハーレムがありますか? もう、世界も牛耳れそう……。
8ラブ 真壁くんが赤ちゃんになる
真壁くんが魔界の王子として生まれなおすという、とんでもない事態に! そんな展開アリですか? 予想外すぎ!
赤ちゃんになってしまった彼を、蘭世は甲斐甲斐しくも母となり育て世話します。
愛する男のオシメが変えられるなんて! 乳飲み子からショタから青年期まで!
強烈な独占欲ですね。彼女になるだけでは飽きたらず、全人生を自分色に染めたいという乙女の願望のあらわれでしょうか。
幼児プレイすらも網羅するとは……恐るべし。
9ラブ 真壁くん似のマフィアのボスに惚れられる
もう、何ソレ?
ここまでくると何がどうなってるのかさっぱりわかりませんが、とにかく、蘭世は魔族の血を引く異国の男ダーク=カルロに「結婚シテクダサイ」と求婚されます。ぶったまげです。
なかなか王子と結ばれない鬱憤を、似た男で擬似成就ということなのでしょうか。
重要な点は、顔はそっくりなのに外人(片言の日本語♪)、マフィアのボス(危険な香り♪)、年上(オトナ♪)、金髪(王子♪)という差異。完璧なグレードアップです。ぬかりありません。
それにつけても蘭世はレベルの高い男から好かれすぎですね。魔界も人間界も乗っ取るつもりですか?
10ラブ 蘭世と真壁くんは2000年前からの恋人同士
独占欲はついに前世すらも!
そこまで結ばれてないと許せませんか? 末代まで恋人でいたいですか?
尽きることない少女の希求心……それはもはやホラーなのかもしれません。
――こうして、「運命」すらも手中に収め、蘭世はめでたく真壁くんと結ばれます。
あまりにもおいしすぎる(というかトンデモナイ)展開の数々ですが、嫌味を感じずにすむのは、蘭世が頑張り屋さんでとっても一途な少女だからでしょう。あの当時、もっともオチャメで魅力的な女の子でした。
ライバルの神谷曜子も面白いキャラでしたね。
変身されたり犬にされたりと、何かと人権を無視されることが多かったですが、2部になってもイイ活躍をするんです。
「いちど本気で好きになった人となら 何度出会っても必ず恋に落ちるはずよ」は名言!
市橋なるみと江藤鈴世に世代交代した2部も好きでした。蘭世世代の人には物足りなかったようですが、アタシがリアルタイムで読んでいたのはこっちでしたので、思い入れもあります。なるみちゃん、いい子だよー。
さらに蘭世と俊の娘、愛良が主人公の3部へと続き、本編終了後もパラレルワールドとなった『ときめきミッドナイト』がはじまるなど、作者のライフワークのように物語は続いていきます。
「少女漫画版ジョジョ」と言ってもいいかもしれません(腕に星型のアザとかジョジョっぽいし!)。
少女の夢が余すところなく詰まった『ときめきトゥナイト』でしたが、果たして男子の目にはどのように映っていたのでしょう。少女漫画を読む男性はまだまだ少ないので、気になるところです。
読んだことのない殿方は、是非今宵この作品を手に取り、甘い摩訶不思議な世界を堪能してください。そして、そっと感想をお教えくださいませ。
アニメのエロいEDばかりが印象に残ってるようでは、とても王子様にはなれませんYO!
同級生? 先生? アイドル? いえいえ、もっと身近で、もっと手の届かない王子の名がトップに輝くことでしょう。元・少女達の永遠の憧れといえば――
真壁俊。
いくつのハートが彼によって奪われたでしょうか。
不良で無口で冷たくて、だけど動物には優しい母子家庭の高校生。つれないけれど決めるところはガッチリ決めるボクサー部の二枚目。
あの時代の少女の憧れを見事に具現化させたのが、誰あろう真壁俊でありました。
まず名前からしてイケメンオーラを放ってます。「まかべ」ときて「しゅん」。甘く引き締まった響きと漢字……。史上最強の組み合わせじゃないですか? 呼びたくなりますよね、「まかべく〜んっ」って!
そんな破壊力を持った名を実際に生まれ持ってしまった男子は不幸ですけどね。死ぬまで周りの期待と戦わねばなりません。十中八九、名前負け。お察しします。
そんな女の子の夢と憧憬を神技で叶えた漫画が『ときめきトゥナイト』です。

1982年から1994年まで「りぼん」に掲載された長期連載漫画です。
3部で構成され、みんなの心に多く残っているのが、やはり江藤蘭世がヒロインだった1部。
ヒーローの真壁俊を筆頭に、ありとあらゆるオイシイ設定がてんこもりでした。全国の少女は枕をヨダレで濡らし読んでいたものです。
今回は、そんな『ときめきトゥナイト』1部から、少女の心臓を貫いた「ときめき設定」10コを挙げてみようかと思います。題して《スーパーラブローション10連射》。スマシタイマヤジオトイヨチ〜。
1ラブ 狼女と吸血鬼の娘
魔法使いだとか宇宙人だとかは、もう子供っぽいご時世。ちょっぴり大人びた西洋の御伽話からおいしい要素だけを抽出し異種間交配させた主人公は、設定だけで勝ったも同然でしょ?
これが現代の世界で正体がばれないように生活すんだから、トキメティックが止まらない!
ロマンスグレーな父親が棺で寝るだけでカッコイイし!
2ラブ 江藤蘭世(えとう らんぜ)
作者、池野恋の命名センスは神か?
真壁俊といい江藤蘭世といい、どうしてこうもステキ名前が思いつくのでしょう。
フランス語で「見知らぬ人」という意味の「エトランゼ」は、そんな由来すら当時の少女には眩しかったのです。
3ラブ 噛みついた相手の姿に変身できる
吸血鬼という設定を「変身もの」に応用するこの手際のよさ!
これで「アッコちゃん」から綿々と続く「変身少女漫画」のハプニングや醍醐味をラブコメに取り込めます。あったまいー!
小鳥に変身して真壁くんからミルクをもらったり、身体検査をしたり、一緒にお風呂に入ったりしちゃうんですよ? 妄・想・全・開!
4ラブ まるいものを見ると狼耳と尻尾がはえる
狼女という設定を「けもの耳」属性にする手腕の逞しさ!
「猫耳萌え」なんて言葉のなかった時代に、この先読みっぷり! 黒髪ストレートにはえた耳の愛らさったらがたまらんですよ。
黒マントとけもの耳の配合って最高じゃん?
5ラブ 人気俳優に一目惚れされる
いい人すぎた筒井圭吾くんです(人気俳優になるのは後々ですけど)。
片想いがすぐ実っては少女漫画として成り立ちませんが、延々と想いっぱなしはつらいもんです。読む少女もつらいです。
そこで、意中のヒーローに引けを取らない容姿端麗な男性に好かれると。そうすればつらい恋心も癒され、自尊心も満たされます。相手はみんなが夢中になってるアイドル。しかも勝手にキスされちゃったりなんかしちゃったり。もてる女はつらいわ〜。
6ラブ 真壁くんが実は魔界の王子だった
王子は名実ともに王子だった!
「○○界のプリンス」という最高級の肩書きは、やはりヒーローには必須のようです。お国は「怪物ランド」ですけど。
とはいえ魔界人と人間という、道ならぬ恋に悩み苦しむのが、この作品の命題でした。彼が同じ魔界人になっては、必要不可欠な障害がなくなってしまいます。
そこで「実は魔界を追放された王子で、見つかれば殺される」という設定が+αされるわけです。この設定の乗せ具合が、うまいうまい。VIPに仲間入りしたあげく、「ロミオとジュリエット」境遇も持続されるという按配。
「彼とわたしはみんなと違う」という選民意識を満たしながら、新たな障害で恋も燃やす。……デキスギですね。
7ラブ 双子の王子に一目惚れされる
「双子の世継は凶兆。禍根を断つため一方は抹殺される」という、古来からある悲運な設定に乙女は弱いもの。
真壁くんがその片割れという真実だけでも垂涎ものなのに、さらにもう一方のアロン王子から、蘭世は激しいアタックを受けちゃいます。
王子ふたりの心を独占しちゃうなんて、これ以上豪華なハーレムがありますか? もう、世界も牛耳れそう……。
8ラブ 真壁くんが赤ちゃんになる
真壁くんが魔界の王子として生まれなおすという、とんでもない事態に! そんな展開アリですか? 予想外すぎ!
赤ちゃんになってしまった彼を、蘭世は甲斐甲斐しくも母となり育て世話します。
愛する男のオシメが変えられるなんて! 乳飲み子からショタから青年期まで!
強烈な独占欲ですね。彼女になるだけでは飽きたらず、全人生を自分色に染めたいという乙女の願望のあらわれでしょうか。
幼児プレイすらも網羅するとは……恐るべし。
9ラブ 真壁くん似のマフィアのボスに惚れられる
もう、何ソレ?
ここまでくると何がどうなってるのかさっぱりわかりませんが、とにかく、蘭世は魔族の血を引く異国の男ダーク=カルロに「結婚シテクダサイ」と求婚されます。ぶったまげです。
なかなか王子と結ばれない鬱憤を、似た男で擬似成就ということなのでしょうか。
重要な点は、顔はそっくりなのに外人(片言の日本語♪)、マフィアのボス(危険な香り♪)、年上(オトナ♪)、金髪(王子♪)という差異。完璧なグレードアップです。ぬかりありません。
それにつけても蘭世はレベルの高い男から好かれすぎですね。魔界も人間界も乗っ取るつもりですか?
10ラブ 蘭世と真壁くんは2000年前からの恋人同士
独占欲はついに前世すらも!
そこまで結ばれてないと許せませんか? 末代まで恋人でいたいですか?
尽きることない少女の希求心……それはもはやホラーなのかもしれません。
――こうして、「運命」すらも手中に収め、蘭世はめでたく真壁くんと結ばれます。
あまりにもおいしすぎる(というかトンデモナイ)展開の数々ですが、嫌味を感じずにすむのは、蘭世が頑張り屋さんでとっても一途な少女だからでしょう。あの当時、もっともオチャメで魅力的な女の子でした。
ライバルの神谷曜子も面白いキャラでしたね。
変身されたり犬にされたりと、何かと人権を無視されることが多かったですが、2部になってもイイ活躍をするんです。
「いちど本気で好きになった人となら 何度出会っても必ず恋に落ちるはずよ」は名言!
市橋なるみと江藤鈴世に世代交代した2部も好きでした。蘭世世代の人には物足りなかったようですが、アタシがリアルタイムで読んでいたのはこっちでしたので、思い入れもあります。なるみちゃん、いい子だよー。
さらに蘭世と俊の娘、愛良が主人公の3部へと続き、本編終了後もパラレルワールドとなった『ときめきミッドナイト』がはじまるなど、作者のライフワークのように物語は続いていきます。
「少女漫画版ジョジョ」と言ってもいいかもしれません(腕に星型のアザとかジョジョっぽいし!)。
少女の夢が余すところなく詰まった『ときめきトゥナイト』でしたが、果たして男子の目にはどのように映っていたのでしょう。少女漫画を読む男性はまだまだ少ないので、気になるところです。
読んだことのない殿方は、是非今宵この作品を手に取り、甘い摩訶不思議な世界を堪能してください。そして、そっと感想をお教えくださいませ。
アニメのエロいEDばかりが印象に残ってるようでは、とても王子様にはなれませんYO!