傑作アニメの最終回をつくる、NHK的5つの方法〜ナディアと電脳コイル〜

「ヤサコとイサコ」の感動のフィナーレから数日……皆様、いかがお過ごしでしょう。

5月の放送開始時にも書きましたが、アタシが『電脳コイル』を視聴した動機は、総作画監督に本田雄さんがいたからでした。

『ナディア』から放たれたもの。そして『電脳コイル』へ
(なので、制作から本田さんが抜けたと聞いたときは、とてもショックだった……)

初めて熱中したオリジナルアニメが、小学5年のときに出会った『ふしぎの海のナディア』。そして17年後、年甲斐もなくハマったのが『電脳コイル』でした。
どちらもNHKアニメであり、傑作すぎる最終回で名作の殿堂入りを果たしたという共通点がありますね。

ふたつの最終回を見比べると、さらにいくつかの共通項を見い出すことができます。
今回はその感動のルーツ、傑作を生み出す先達の御業を見て、ドラマツルギーの勉強をしたいと思います。

注:例によって両作品のネタバレを多大に含みますので、未視聴の方はお戻りを。


★亡くなったはずの兄が意識を取り戻し、活路を開け!★


ミチコにとらわれたイサコを解放へと導いたのは、ミチコの影にのみこまれたはずの兄、4423でした。
彼は妹を助けるために無意識層の淵から浮かび上がり、ミチコともども消え去る道を選んだのです。妹を想う力の、偉大さたるや。妹萌えのミラクルエナジー。

一方、ガーゴイルの操り人形となったナディアを解放したのも、同じように傀儡にされたはずの兄、ビナシスでした。
父ネモの前でロボットのように動かされたビナシスに意識が戻り、ナディアにかけられた呪縛を解くシーンは、日本中が涙したことでしょう。そして彼も、4423と同じく消滅してしまいます……最愛の妹と、一瞬の会合を果たして。

操り人形の兄が奇跡の復活。あの日の幼い姿で! 最終回に欠かせない重大なイベントですね。


★ヒーローは、テラ役立たず!★


ヤサコの王子様といえば、我らがハラケンですが、残念ながら最終回での見せ場はありませんでした。前話ではサッチーの力(というかオバちゃんの力)を頼りに、多少の奮闘はできたのですが、そこまでです。
まぁ、それでこそハラケン。特技はタヌキ寝入りです。横でヤサコを応援するだけの彼は、イサコとの仲を邪魔しない正しい選択をしましたよ。

ナディアの王子様(というか下僕)といばジャンですが、これまた最終回ではまったくの役立たずでした。のこのこナディアを助けに来たと思えば、銃を撃つこともできず、あろうことかガーゴイルに殺され、貴重なブルーウォーターを消耗させる始末。なんという足手まといでしょう。
しかし、それでこそジャン。勝気なお姫様に振り回される、愛すべきメガネ男子でした。♪肉や魚も、おいしいよ?

ヒロインの成長物語に、ヒーローの活躍など不要。ヘタレなぐらいが丁度いいんです。


★お姉さんのピッタリボディスーツで、子供達にエロスを植え込め!★


(これは最終回に限ったことではありませんが)NHKといえど多少のエロスは必須。
かといって露出に走るエロは下品ですし、表現に制限がありますから、ここは出さないエロスが見せ所となってきます。

自称17歳オバちゃんは、黒のライダースーツで身を包み、コイル内の稀少なナイスバディを披露してくれました。
強調される胸、腰のくびれ、股のライン。小学生やババァに囲まれ、唯一の正統派お色気でした。オバちゃん、ご苦労様。

永遠の17歳である(井上喜久子さんが声優を担当した)エレクトラさんは、アニメの後半、奇抜なボディスーツで子供達の視線を釘づけにしました。のちのエヴァのプラグスーツへつながる、けしからん系譜ですね。

ボディスーツのお姉さんは好きですか? 大好物です。
艶かしい光沢、あらわになったプロポーションは、子供達に高等なエロスを与えたまいました。(電撃でスーツがビリビリに破れるシーンが玉子にもあれば、最終回はさらに盛り上がったことでしょう)


★ふるさとへ帰れ!★


自分の精神世界をさまよいつづけたイサコは、ヤサコの呼びかけにより現実へ帰ってきます

「おかえり、イサコ」
「ただいま、ヤサコ」

また、退院したイサコはヤサコに何も告げず、金沢へ戻ってしまいます。さみしい別れですが、彼女はもう昔の彼女ではありません。ひとまわりもふたまわりも成長し、金沢での生活を謳歌していると、我々は信じることができます。

宇宙へ飛び、ガーゴイルとの戦いで自分の源泉と向き合ったナディアも、戦いを終えて生まれ育った地球へ帰ります

「あなたのふるさとへ帰ってるの」
「……違うよ、ナディア。ボクらのふるさとさ。キミの生まれた星だよ」

ナディアも、サーカス団にいた頃の自暴自棄な彼女ではありません。父の愛を受け、大事な人を見つけ、成長を果たして帰るのです。

旅の終着駅は生まれ故郷……。ビルドゥングスロマンの要ですね。


★ラストは成長した幼女で〆ろ!★


コイルのオーラスを飾ったのは、「うんち」ばかり連発してた京子の半年後の姿でした。ペットとのつらい別れを経験し、「うんち」から卒業した彼女の力強いうなずき。ランドセル姿。これほどうれしい〆の絵があるでしょうか。

ナディアのラストを飾ったのも、わがままな幼女マリーの12年後の姿です。アタシ達は彼女の語りで、その後のみんなの活躍を垣間見ることができました。
京子が、物語を統括するシンボルとして描かれたのに対し、マリーもまた、ストーリーテラーとしてメタ的に幕を閉じる役を果たしたのです。最後の最後に、凄まじいドッキリ報告をまじえて。

脇役だったはずの言葉足らずな幼女が、終幕では視聴者へ視線を向け、終わりを告げる。これは、主人公(ヤサコやイサコ、ナディア)の成長物語の偉大さ、影響力の強さを教えています。
少女の成長は、周囲の成長も促す。姉の葛藤と行動を見て、妹も大人になるのです。もちろん、視聴者であるアタシ達も……。


――ストーリーのまったく違う両作品ですが、照らし合わせれば、こんなにも感動の欠片が重なるとわかりました。
常に新しい物語、オリジナルを求められるクリエイティブな世界でも、人々の琴線をはじくポイントは何十年経とうと変わらないのです。

この5点さえ押さえれば、キミも明日から最高の最終回が作れるゼ!
未来のNHKを背負うのは、TVの前のア・ナ・タ・た・ち・DEATH!(オンバト風に)


(「おやすみします」といった舌の根も乾かぬうちに、こんな記事を挙げてすみません。し、仕事もちゃんとしてるんですよ?)

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コメント

この記事へのコメント

あのマンホールは三つ又ソケットの差し込み口だったのか!
じゃ、お仕事頑張って下さい。

第3話で、モジョと京子の虐待から逃れてゴミ箱の中でさめざめと泣くデンスケは、南の島編のキングそのものでしたよ(笑)

おもしろい!

舌の根も乾かないうちに、お仕事の邪魔してごめんなさい。
なにげなくデンスケブログパーツを見ていたら12/20をもって終了しますとの案内が・・・。なにもそんなに急いで最終回にしなくてもいいのにね。(涙)
うちのはもうちょっとで1000回に行く所まで、画面狭しとよく頑張ってくれたから、消える前にお礼を言ってさよならしましょうか。
デンスケ&各ブログ主催者&鳥居さんありがとう。
心の目で見られるようになるまで下記の画像(縦は携帯向け・ノイズ除去済み)で偲んでやって下さい。(要らんリンクは踏まないように)
http://18ban.jp/photo.php?kid=244727&wid=77931
http://18ban.jp/photo.php?kid=244727&wid=77947

こんにちは、いやーまさかここで「ナディア」が出るなんて思ってもいませんでした。
そして、まさか電脳コイルと接点があるなんて・・・
ていうか、ナディアって、いつやったんですか?なんかものすごい昔のようなかんじなんすけど・・・なま言ってすみません、ほんとスンマセン。
でもなんか、あれにも似てるきがする・・・なんだっけ
えーと・・・あのなんか未来の子どもがなんか星に住んでて、それで宇宙旅行に行くんですよ(5,6人で)それで、なんか事故にあって、変な星に着陸しそこで暮らす・・・的な?なんだっけーえっと・・・
まぁなんとなく似てるんですよ。なんか、正月らへんでSPとしてやっていて、見ました。
まぁ私NHKの思い出といったら「だぁだぁだぁ」ですから・・・フッ(嘲笑)
あ、そうそう銀魂よろしくです!(おまえ、またか?もうウゼーよっという突っ込みは、なしの方向で)
ていうか、きなこさんお仕事がんばってください。私は銀魂と一緒に応援してます。てへっ(モップガールの桃子風)
ていうか、モップガール・・・来週で最終回なんで見てください!                        お前最後までそれか、ていう突っ込みはなしの方向で・・・スンマセン。

この路線でいうなら、ネモ船長はヤマト、冬月せ………ガーゴイルは猫目かなw
ナディアとジャンのポジションはヤサコイサコハラケンのシャッフル状態だ………百合嫌い的にはね(苦笑)
でも、自己犠牲でヒロイン救うという意味ではデンスケも入っているか(笑

重箱の隅

4423はイサコのナンバーです。
兄のナンバーは4422です。

重箱の隅の隅

ここでは"イサコの世界の兄"で
自ら4423って名乗っている彼を指してんだから、
間違いじゃなくね?

4423はイサコの兄の姿を借りた
治療用コミュニケーションツール、つまり
事故死したイサコの兄とは何の関わりもない
はずですが その4423が自らの意志で
イサコを助けてくれるところが感動を
加速させるわけですね。
(でもホントはそれが治療の仕上げだったのかも)

ありがとうございます!

> sanukiteさん

コンセントでけぇ!
ナディアとコイルの世界じゃ100年以上開きがありますが、あまり進化してねぇ。
仕事……が、がんばります。

> Sweetさん

キングとデンスケ、かぶりますね……とくに哀愁漂うところが。
そう思うと、デンスケの子供も見たかったなぁと、しみじみ……。

> おもしろい!

どどど、どうもです!

> sanukiteさん

デンスケブログパーツが終わるとな! ショックです……。
せめて、再放送の間も……。
うちのは軽く10000超えてますね。どんだけコイルサイト回っとんねんて感じです。
在りし日のデンスケの雄姿……ありがとうございます。

> 神楽さん

NHKアニメがナディアとコイルとおじゃる丸ぐらいしかないので、わかりませんねー。
とりあえず仕事、がんばりま……す。

> 08さん

いやぁ、猫目にガーゴイルほどの貫禄はなかったなぁと。
どっちも、キャラの強い敵役で大好きですけどね。

> 重箱の隅
> 重箱の隅の隅


隅の隅さんがおっしゃってくださったように、4423です。
彼が本当にイサコの心から生まれた存在か、兄の電脳体と融合してるのかは別として……。

> uonaさん

イサコを助けた4423が、本当に治療用ツールだったのか、亡くなった兄だったのかは、見た人によって感じ方が違うと思いますが、感動を与えてくれたのはたしかですね。

 ジャンは役に立っていたと思いますよ。
知識だけでなく行動力もかなりありましたし(確かに最後は無理やりついてって役立たずどころか足引っ張りましたが)
 彼がいなければ中盤に南の島に漂流したときに
ナディアもマリーものたれ死んでたんじゃないですか。
 それに対してナディアは役に立つどころか誰かの為に何かをやったとかいう印象がまるでないのですが

 役立たずだと思われているキャラっていうのは努力や行動するもののあまり上手くいかなかったり、周りから役立つことをある程度期待されているポジションだからなのではないでしょうか。
 最初から何もやろうとしなかったり、期待もされてないキャラは前述したものよりも役立たずの印象は薄いのではないでしょうか。

> ジャンは役に立っていたと思いますよ。

最終回以外では大活躍でしたね、ジャン。
というか、ジャンがいなかったらナディアも生き残ってないぐらいの奮闘。島編は頼もしかったぜ!

ナディアはただのワガママ娘でしたからね。そこがイイんだけど。たしかに、最初から有益な活躍なんて期待してなかったわ……。

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