第9回 祝・完結!『痴漢男』
あけましておめでとうございます!
2007年、1発目の「きなこ餅コミック」です。普段は週1も危ういペースなのに、大晦日&元旦という切羽詰った時期に連続更新するとは、一体何事でしょうか。さみしい年の瀬を過ごしているのかと不憫に思われても否定できない!
いえいえ、正月休みこそ更新週間。一度にふたつのことができないアタシには今しかないのです。
そんな頼りない意気込みのゆすら榛梧ですが、本年もどうぞよろしくお願い致します。みなさんの琴線にかすったり空振ったりしながら、ポツリポツリ漫画を紹介できればという所存。何卒、お付き合いの程をば。
去年は当レビューにて8つの漫画をamazon広告と一緒に紹介させていただきましたが、今回取り上げる作品は商業漫画ではありません。
んじゃ同人誌? まさか貸し本漫画? いえ、WEB漫画です。
管理人YOKO氏のイラスト漫画サイト『第四十工房落書き置き場』において更新されていた漫画、『痴漢男』が本日のお題。

VIPの、いや、2chのみんな、聞いてくれ。
先日、ものすごい勢いで痴漢に間違えられた。
ものすごいってのは別にギャグでもなんでもない。マジで瞬きの間に間違えられた。
2004年11月、2ちゃんねるのこの書き込みからはじまった一連の報告、VIPPERへの相談、おふざけ、飽くなき挑戦を漫画化したのが、この作品。
そうです。同年春にスレッドが立ち、爆発的人気となった『電車男』みたいなお話と思ってくれて差し支えありません。ぶっちゃけ、二番煎じ臭がプンプンするタイトルとあらましですね。この触れ込みではかなり期待できません。
が、このWEB漫画はそんなマイナス先入観を見事にぶっ飛ばしてしまいました。
管理人は漫画家志望の20歳の男性。アマチュアとのことですが、半端なく楽しめる実力!
アタシは秋頃にニュースサイト『酔拳の王 だんげの方』さんでその存在を知って以来、約2ページごとにUPされる続きが待ち遠しく、毎晩ハァハァしながらサイトを訪れておりました。この冬、『痴漢男』を日々の糧としていた人がどれだけいたことか!
いやはや、WEBは印刷・配送・購入の段取りを飛ばし、ダイレクトに物語を受け取れるからいいですねぇ。
他者の介入がない分、怠けて更新が滞る人も多いものですが(耳が痛い)、我らが痴漢男は大きく停滞することなく、昨日無事に完結を迎えることができました。ええ、大晦日にです。
アタシは物語の途中で辛抱堪らず、完結を待たずに「まとめサイト」に手を出して結末を見ちゃった不届き者ですが、それでも感動のフィナーレを味わうことができました。
こんなカタルシスをタダで満喫できるなんてスゴイ! なんというサービス精神! そこにしびれる! あこがれるゥ!
そんなお得感たっぷりのこのエンターテインメント。その魅力はズバリ、アマチュアらしさとアマチュアらしからぬ技量の絶妙のバランスにあったと思います。
ルーズリーフにシャーペン(?)で描かれた、あやうい線とセリフ。(当然だけど)頻繁に使われる2ch用語、アスキーアート。そしてジャンルを問わないパロディネタ。
それらは物語を邪魔せず、他の作品にない個性として見事に輝いていました。
元々2chに書き込みを始めた痴漢男自身が、かなりの文章力の持ち主で名ストーリーテラーだったというのもありますが、その巧みな述懐をさらに開花させたのが、漫画制作者のYOKO氏です。
最大の見所は、共感を誘う人物描写でも手に汗握るストーリーでもなく、目に見えて日に日に高まっていった、YOKO氏の尋常ではない漫画力っ!!
「シーン1」と「ラストシーン」を見比べれば、その差は歴然です。
半年の間に、絵とセリフの混在した画面はみるみる整理され、的確な構図と大ゴマを決めまくった画面へと洗練。
はじめの頃は「2chスレの漫画化」という概念が作品にもYOKO氏の頭にもあり、レスの羅列で文字のみのコマが多発していました。漫画としてかなり読みにくい造りです。
が、ある時期から「2ch」という土台を離れ、個々の登場人物に血肉が宿り、純粋な恋愛物語としての姿が大きくなります。漫画だけの脚色も多く挿入されだし、VIPPERのスレはどんどん舞台から消えていきます。
物語や人物が完全にYOKO氏のものとなり、さらにYOKO氏の思惑をも飛び越え、動きだす瞬間。
この進化がたまりらん! 日参していた者は背中ゾクゾク興奮しまくりでしたよ。なんというか、サイヤ人がスーパーサイヤ人になる瞬間を目撃というか、スカウターの数値がドンドン上昇していくのを見てる感じなんです。まさにキタ━━━(゚∀゚)━━━!!
そうして何人もの読者をトリコにし、おそろしいVIPクオリティに到達し怒涛の更新は終わりました。
もう、心の底から乙です。痴漢男とYOKO氏の、ふたりの男の成長を堪能した2006年冬……。ロマンスの神様はいたね。
これまで、あまりWEB漫画を注目しなかったアタシですが、WEBと云えどあなどれないことを思い知らされましたよ。読者の反応がまた新鮮。
WEBなら原稿が鉛筆でも下書きでも非難されない、むしろ歓迎という事実。これは興味深い発見でした。
有名なWEB漫画サイトは鉛筆書きのところが多く、話題沸騰で出版にまで至った『きょうの猫村さん』も『となりの801ちゃん』も鉛筆タッチ。本になっても清書はされていません。
商業誌では許されない「鉛筆漫画」がWEBで許され、転じて出版されても許されちゃう理由は、WEBでは整った線や背景の情報より、「ストーリー」「容量の軽さ」「更新頻度」が求められるからなんでしょうねぇ。
はじめから「紙」という媒体で手元に渡る商業誌では、ちゃんとペン入れされてないと「金はらってるのに!」と非難の対象になります。しかしWEBはだいたいロハ。無料のものにそんなクレームつける気は起こりませんし、一度許せば立派な味として受け入れられちゃいます。
この違いが紙漫画とWEB漫画の棲み分けになっているのでしょうか。
それぞれのメリットデメリットによって媒体を選べる時代。ケント紙にGペンだけが漫画ではなくなり、CGの導入、果ては大学ノートの落書きという多様化を遂げているのです。進化なのか原点回帰なのかわかりません。
ならば、「週刊少年ジャンプ」で絶賛休載中の某先生もWEBで連載を再開されてはどうでしょうか。
これなら下書きでもOK! 単行本で書き直さなくても許されるよ! 原稿料は出にくいけどネ☆
……短期間で膨大なページ数の『痴漢男』を描き上げたYOKO氏は、おそらく遠くない未来に商業デビューされることでしょう。
WEBではない舞台でどのような作品を見せてくれるの、今から楽しみでなりません。期待の新人作家YOKO、未見の方は是非今のうちにクリック!
(↓2chの痴漢男スレッドをまとめた物が一応出版されてはいますが、『電車男』ブームにあやかるだけの手抜き本として評判が悪いようです。残念)
2007年、1発目の「きなこ餅コミック」です。普段は週1も危ういペースなのに、大晦日&元旦という切羽詰った時期に連続更新するとは、一体何事でしょうか。さみしい年の瀬を過ごしているのかと不憫に思われても否定できない!
いえいえ、正月休みこそ更新週間。一度にふたつのことができないアタシには今しかないのです。
そんな頼りない意気込みのゆすら榛梧ですが、本年もどうぞよろしくお願い致します。みなさんの琴線にかすったり空振ったりしながら、ポツリポツリ漫画を紹介できればという所存。何卒、お付き合いの程をば。
去年は当レビューにて8つの漫画をamazon広告と一緒に紹介させていただきましたが、今回取り上げる作品は商業漫画ではありません。
んじゃ同人誌? まさか貸し本漫画? いえ、WEB漫画です。
管理人YOKO氏のイラスト漫画サイト『第四十工房落書き置き場』において更新されていた漫画、『痴漢男』が本日のお題。

VIPの、いや、2chのみんな、聞いてくれ。
先日、ものすごい勢いで痴漢に間違えられた。
ものすごいってのは別にギャグでもなんでもない。マジで瞬きの間に間違えられた。
2004年11月、2ちゃんねるのこの書き込みからはじまった一連の報告、VIPPERへの相談、おふざけ、飽くなき挑戦を漫画化したのが、この作品。
そうです。同年春にスレッドが立ち、爆発的人気となった『電車男』みたいなお話と思ってくれて差し支えありません。ぶっちゃけ、二番煎じ臭がプンプンするタイトルとあらましですね。この触れ込みではかなり期待できません。
が、このWEB漫画はそんなマイナス先入観を見事にぶっ飛ばしてしまいました。
管理人は漫画家志望の20歳の男性。アマチュアとのことですが、半端なく楽しめる実力!
アタシは秋頃にニュースサイト『酔拳の王 だんげの方』さんでその存在を知って以来、約2ページごとにUPされる続きが待ち遠しく、毎晩ハァハァしながらサイトを訪れておりました。この冬、『痴漢男』を日々の糧としていた人がどれだけいたことか!
いやはや、WEBは印刷・配送・購入の段取りを飛ばし、ダイレクトに物語を受け取れるからいいですねぇ。
他者の介入がない分、怠けて更新が滞る人も多いものですが(耳が痛い)、我らが痴漢男は大きく停滞することなく、昨日無事に完結を迎えることができました。ええ、大晦日にです。
アタシは物語の途中で辛抱堪らず、完結を待たずに「まとめサイト」に手を出して結末を見ちゃった不届き者ですが、それでも感動のフィナーレを味わうことができました。
こんなカタルシスをタダで満喫できるなんてスゴイ! なんというサービス精神! そこにしびれる! あこがれるゥ!
そんなお得感たっぷりのこのエンターテインメント。その魅力はズバリ、アマチュアらしさとアマチュアらしからぬ技量の絶妙のバランスにあったと思います。
ルーズリーフにシャーペン(?)で描かれた、あやうい線とセリフ。(当然だけど)頻繁に使われる2ch用語、アスキーアート。そしてジャンルを問わないパロディネタ。
それらは物語を邪魔せず、他の作品にない個性として見事に輝いていました。
元々2chに書き込みを始めた痴漢男自身が、かなりの文章力の持ち主で名ストーリーテラーだったというのもありますが、その巧みな述懐をさらに開花させたのが、漫画制作者のYOKO氏です。
最大の見所は、共感を誘う人物描写でも手に汗握るストーリーでもなく、目に見えて日に日に高まっていった、YOKO氏の尋常ではない漫画力っ!!
「シーン1」と「ラストシーン」を見比べれば、その差は歴然です。
半年の間に、絵とセリフの混在した画面はみるみる整理され、的確な構図と大ゴマを決めまくった画面へと洗練。
はじめの頃は「2chスレの漫画化」という概念が作品にもYOKO氏の頭にもあり、レスの羅列で文字のみのコマが多発していました。漫画としてかなり読みにくい造りです。
が、ある時期から「2ch」という土台を離れ、個々の登場人物に血肉が宿り、純粋な恋愛物語としての姿が大きくなります。漫画だけの脚色も多く挿入されだし、VIPPERのスレはどんどん舞台から消えていきます。
物語や人物が完全にYOKO氏のものとなり、さらにYOKO氏の思惑をも飛び越え、動きだす瞬間。
この進化がたまりらん! 日参していた者は背中ゾクゾク興奮しまくりでしたよ。なんというか、サイヤ人がスーパーサイヤ人になる瞬間を目撃というか、スカウターの数値がドンドン上昇していくのを見てる感じなんです。まさにキタ━━━(゚∀゚)━━━!!
そうして何人もの読者をトリコにし、おそろしいVIPクオリティに到達し怒涛の更新は終わりました。
もう、心の底から乙です。痴漢男とYOKO氏の、ふたりの男の成長を堪能した2006年冬……。ロマンスの神様はいたね。
これまで、あまりWEB漫画を注目しなかったアタシですが、WEBと云えどあなどれないことを思い知らされましたよ。読者の反応がまた新鮮。
WEBなら原稿が鉛筆でも下書きでも非難されない、むしろ歓迎という事実。これは興味深い発見でした。
有名なWEB漫画サイトは鉛筆書きのところが多く、話題沸騰で出版にまで至った『きょうの猫村さん』も『となりの801ちゃん』も鉛筆タッチ。本になっても清書はされていません。
商業誌では許されない「鉛筆漫画」がWEBで許され、転じて出版されても許されちゃう理由は、WEBでは整った線や背景の情報より、「ストーリー」「容量の軽さ」「更新頻度」が求められるからなんでしょうねぇ。
はじめから「紙」という媒体で手元に渡る商業誌では、ちゃんとペン入れされてないと「金はらってるのに!」と非難の対象になります。しかしWEBはだいたいロハ。無料のものにそんなクレームつける気は起こりませんし、一度許せば立派な味として受け入れられちゃいます。
この違いが紙漫画とWEB漫画の棲み分けになっているのでしょうか。
それぞれのメリットデメリットによって媒体を選べる時代。ケント紙にGペンだけが漫画ではなくなり、CGの導入、果ては大学ノートの落書きという多様化を遂げているのです。進化なのか原点回帰なのかわかりません。
ならば、「週刊少年ジャンプ」で絶賛休載中の某先生もWEBで連載を再開されてはどうでしょうか。
これなら下書きでもOK! 単行本で書き直さなくても許されるよ! 原稿料は出にくいけどネ☆
……短期間で膨大なページ数の『痴漢男』を描き上げたYOKO氏は、おそらく遠くない未来に商業デビューされることでしょう。
WEBではない舞台でどのような作品を見せてくれるの、今から楽しみでなりません。期待の新人作家YOKO、未見の方は是非今のうちにクリック!
(↓2chの痴漢男スレッドをまとめた物が一応出版されてはいますが、『電車男』ブームにあやかるだけの手抜き本として評判が悪いようです。残念)
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