第2回 萬國驚天掌10連発!『DRAGON BALL』

2回目は『DRAGON BALL』です。うーん、前回といい大作ばかり取り上げて大丈夫なんでしょうか。ま、たいしたことは語れないので気にしない気にしない。サクサクいきましょう。



世界的産業にまでなっちゃった大作です。人ひとりのために道路が敷かれたとまで伝えられる漫画。アタシが5歳のときに連載が始まり、16歳の年に最終回を迎えました。
ずっと読み続けていましたが、とくに小学生時代は『ジャンプ』の発売される月曜日(アタシの地区はそうでした)が世界のはじまりであり、アニメの放送される水曜日が世界の中心でした。きっと全国の小学生が同じ世界の中で生きていたことでしょう。「つらくてもドラゴンボールがあるから生きていこう」ズバリ、心の支えでした。
「努力・友情・勝利」を叩き込まれ、味わったことのない驚きと興奮の連続! この作品とともに少年期を過ごせたことを心の底から感謝します!

今回は、そんな『DRAGON BALL』で受けたさまざまな衝撃から、よりすぐりの10コを物語順に回想していきたいと思います。
名づけて《アタシ的、萬國驚天掌10連発!》 嗚呼、あの感動をもう一度。そうさ、今こそアドベンチャ〜♪
(巻数はジャンプコミックスのものです)


其之壱 「かめはめ波最大出力」でぶっとばされる月(5巻)

はじめての天下一武道会で、亀仙人扮するジャッキー・チュンが、大猿に化けた悟空を元に戻すため満月を吹き飛ばしてしまいました。それはさすがにヤリスギだと子供心に思ったのを覚えています。
大人になって読み返してみると、やっぱりヤリスギです。この頃はまだ『Dr.スランプ』の世界を引きずっていましたから、月をぶっ飛ばすのも致し方ないかもしれません。また、そんなヤリスギで読者を圧倒させるのが少年漫画。パワーのインフレが起こる一因でもあるわけですが、興奮を半減させるわけにもいきませんでした。でも、この時点で月はチョット……。


其之弐 「仙豆」登場(8巻)

ちょっとビックリとは違いますが、仙豆の登場は画期的でした。受けたダメージが帳消しされるありがたい豆。滅茶苦茶テレビゲーム的アイテムです。
サイヤ人編に入るとキャラの強さが数値化され、バトル漫画として画期的だったとよく言われていますね。RPGのHP(ヒットポイント)化です。仙豆は『DRAGON BALL』におけるゲーム化の発端でした。
はじめは夢をかなえる摩訶不思議な宝として存在していたドラゴンボールも、物語の後半では、いかにうまく生き返らせるかという高等魔法に変身。ベホマザオリクですね。みごとにドラクエ。新鮮な融合でした。


其之参 初・クリリン死亡(12巻)

2回目の天下一武道会が幕を閉じ、敵だった天津飯とも打ち解けて大団円な雰囲気で起こった、まさかの惨劇。熱い闘いを終えて安堵していた幼い読者たちは、恐怖のどん底へと突き落とされました。ピッコロ大魔王編の衝撃的な導入部です。
この落差が見事すぎる!!! 改めて読んでも展開が神。鳥肌もんです。これを起点に、物語は「ペンギン村」的雰囲気から隔絶されました。まさかこんなシリアスな展開になるなんて当時は思いもしなかったのに。


其之肆 悟空、身長が伸びる(14巻)

3回目の天下一武道会出場のため、3年ぶりに皆が再会します。なんとチビっ子だった悟空が青年の頭身に大変身! ぶったまげました。奇抜な髪形はそのままに等身だけが伸びたので違和感アリまくり。「こんなの悟空じゃない!」と激しく戸惑いました。
が、次の週ではすっかり見慣れて物語に没入。漫画がすごいのか子供の順応力がすごいのか、ふしぎですねー。


其之伍 ピッコロの攻撃が悟空の胸を貫通(16巻)

悟空vsマジュニアの超山場。悟空の勝利を誰もが確信した瞬間での出来事でした。
相変わらず物語の運びが。この頃は仙豆で回復したりドラゴンボールで生き返ったりが頻繁ではありませんでしたから「ギャー! 悟空が死ぬー!」と、そりゃもうパニックです。最も心臓に悪かった回として胸に刻まれています(結局、仙豆で治りましたが)


其之陸 サイヤ人編突入(17巻)

悟空に子供ができてたこともビックリですが、もう宇宙人だとか兄だとか地球を支配だとか、めくるめく真実の連発にドキドキしっぱなし。アドレナリン大放出。ピッコロ大魔王編に入るときと同じ、「新しいことがはじまってる!」というトキメキでイッパイでした。こんなドキドキ、久しく味わってませんねー。


其之漆 「き…きさまといた数か月……わ…わるく…なかったぜ……」(19巻)

ピッコロさぁ〜〜ん!!!・゚・(ノД`)・゚・。


其之捌 初・超サイヤ人(27巻)

0回でも言ったとおりですね。まさかスーパーの状態というのが「逆毛ベタなし」とは思いませんでした。単純なのにすごい発想、表現力。
と思ったら、ランチさんのときにすでにやってました


其之玖 トランクスがブルマとベジータの子(28巻)

これは……これは乙女心に大打撃でした。
少年漫画に熱中しているといえど、当時のアタシは初潮が来るか来ないかという少女です。『ジャンプ』と同じく『りぼん』も欠かさず買っていました。漫画のカップルが別れることなどない。それが法則であり絶対だったのです。
なのに、まさかのヤムチャとの破局! よりによってベジータと! あのベジータ! しかも子! 子! いきなり子ぉぉ!
……正直、『DRAGON BALL』史上最大の驚天です。友情は重要だけど愛情は別。それがこの物語と作者のスタンスであることを身をもって知りました。そのサバサバしたとこがイイとこでもあるんですけど……はぁ〜。

今だにヘタレだの弱虫だのかませ犬だのと、ファンの間で汚名をほしいままにしているヤムチャですが、その不幸は今にはじまったことではありません。終始一貫して不憫な子でした。
クリリンより先に登場し、戦士の中で最古のキャラ。言ってみればオリジナルメンバーです。
1巻で彼は「はっきりいって オレは結婚というのにあこがれている!!」と宣言します。
そして苦手な女を克服し、はれてブルマとの交際がはじまったのです。ほほえましい恋愛模様じゃありませんか。なのに、28巻にしていきなり破局を予言! 未来からの使者にわざわざ! いったい彼が何をしたというのですか、神よ。
……かくしてふたりは別れ、トランクスがデキちゃいました。これまでの歳月は一体……。

『DRAGON BALL』はさまざまな夢と希望を与えてくれました。努力の果てに勝利があることも教えてくれました。なのに、1巻からとなえてるヤムチャのささやかな夢は叶えてくれないという有様。なんて酷な仕打ちでしょう。
叶わぬ夢もあるさ……。そんなメッセージが、この事柄から透けて見えてきました。本当に学ぶものの多い漫画ですね。人生の教科書です。やはりヘタレはダメか。

作者自身が嫌っていたということもあり、ラブロマンスが一切ない『DRAGON BALL』でしたが、恋愛の扱いが拙かったわけではありません。むしろ、女性像はかなり現実に則して描かれていたと思います。
長年付き合っていても別れるときは別れるというブルマの行動もそうですが、ベタぼれで押しかけ女房になっても、子供ができれば教育ママなチチもリアルに感じました。宇宙船の中で散らかし放題、男がいるのに下着姿でうろつくブルマなんて、作者の家では嫁がパンツでうろついているのではないかと邪推してしまうぐらい真に迫った描写。女に対する幻想がなさすぎです。
ブルマの髪形と服装が登場ごとに違うのも少年漫画では珍しかったです。ふつう、男性作家がそこまで女性キャラの造詣に気を使えるものではありません。
ラブロマンスはあえて描かれませんでしたが、鳥山明はバトルだけでなく、女性の表現もピカ一の漫画家でした。さすがですね。ミもフタもないピカ一でしたが。

……おっと、脱線がすぎました。ではでは10連発のラストいってみましょー。


其之拾 超サイヤ人3登場(40巻)

ラストはビックリ!というよりズコーーッ!な衝撃でした。
超サイヤ人が生まれフリーザ編が終わっても、人造人間が現れセルが現れと、物語はなかなか終結しません。超サイヤ人3の登場は、パワーバランスのインフレに継ぐインフレで、ついに臨界点を突破、飽和してしまったんだと描かれたような瞬間でした。
小学生だったアタシも、いつの間にか高校生に。「有終の美を飾ることも許されないのか」と、大人の裏事情がうっすらわかる年頃となっていました。悲しいことです。

老界王神が「隠された力を限界以上に引き出すことができる」と告白したとき、悟空が「わりとよくきく能力じゃねぇか」と肩透かしをくらっていたのも印象的でした。
作者が「ありとあらゆるベストな展開は描き尽くしたんだ、これ以上は何をやっても劣化した焼き直しにすぎないんだよ」と、諦観まじりに訴えているように聞こえたもんです。

こうして間もなく『DRAGON BALL』は最終回を迎え、10年に及んだ物語に終止符が打たれたのです。
たしかに興奮は薄れ、終盤では往年の勢いを失っていたかもしれません。しかし、どの回もハズレはなく、第一線の人気を保ったまま幕を閉じたのは事実。誰にも成しとげない偉業を『DRAGON BALL』はやってのけたのです。あらためて感謝! ありがとう!

――以上がアタシの《萬國驚天掌10連発》でした。みなさんの10連発と比べてどうでしょう。だいたい同じですよね。え、ぜんぜん違う? よければ、アナタの驚天掌話も教えてください。いくつになっても、過去に熱中した漫画やアニメの話は盛り上がるものです。30歳になっても40歳になっても、つかもうぜ! ドラゴンボール!

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