第24回 召しませ!セーラー服でみる百合感情『乙女ケーキ』
只今〈ジャンプ的3大ラブコメ月間〉なんですけど、もうちょいお待ちを。今回は激しく琴線を揺さぶられ、ジャケ買いしちゃった作品をレビューします。

タカハシマコの『乙女ケーキ』。
「百合姉妹」「百合姫」に掲載された読みきり9本と、書き下ろし1本を収めた短編集です。
とにもかくにも、装丁とタイトルが秀逸すぎる。
モノクロの少女とピンクの下地が、触れれば壊れるような少女性を醸し鎮座ましましてる表紙。「乙女」+「ケーキ」という、漢字とカナの甘い組み合わせ!
自分は、これまで一度も百合モノを読んだことがない未熟者なのですが、これは躊躇せず買いました。なんとおそろしい吸引力。話題になるのもうなずけます。
作者があとがきで描いてたように、アタシもてっきりエロありかと思ってましたよ、百合姉妹。(タカハシマコはワニマガジンの『冷たいお菓子』しか読んだことなかったし)
開けてみたらば、エロなど皆無。そこらの少女誌より、よっぽど清らかな聖域が広がっておりました。紳士淑女も安心してお楽しみいただけます。
なのに、ストイックを徹底すればするほど際立ってしまうエロス。隠すごとに、にじみ出る艶やかさ。え、えっちぃです。
この矛盾する法則は、百合作品の特徴なのかもしれません。
たまごまごさんのまとめられた、「なぜ少女イメージが際立って浮き彫りにされるのか説」のひとつです(こちらは、2次元少女のアンビバレンツな魅力を的確に説明されてて、必読モノ)。
この定義は、そっくりそのまま〈セーラー服〉の定義にも当てはまるとアタシは考えます。
もってけ!セーラーふく!
百合未経験のアタシを、ジャケ買いするに至らしめたのは、秀逸なタイトルとカラーリング以上に、セーラー服の力が大きい。
表紙を飾る、4人のセーラー少女。3度のメシよりセーラーが大好物なアタシですから、この儚い少女群には惹かれざるを得ません。
――セーラー服。
それは永遠の憧憬。処女性のシンボル。
たまごまごさんが挙げた、生と死、安定と不安定、主体と客体、現実と非現実、すべてのファクターを持ち合わせた魔法の衣が、セーラー服です。
じゃ、ブレザーはどうなんだって?
ブレザーにはセーラーより、生と現実、あと即物的な性の比重が大きい気がします。セーラーは幻想的で、ブレザーは現実的。どちらも実際に制服としてあるのに、そんなイメージありませんか?
『乙女ケーキ』収録の漫画には、その制服イメージが、絶妙な采配で配置されています。セーラー服も、ブレザーもかわいい。小学生の制服もかわいい。必見です。

とくに、セーラーのリボンをほどこうとする図が、たまらなく好きだ。ヘタに露出してる絵より、ずっとエロイ。淫靡。
リボンひとつで、何故こうも卑猥に見えるか? それは、百合を代表する作品『マリア様がみてる』の名セリフから考察できます。
お姉さまが、妹の制服のタイを直す、崇高な例の儀式ですね。この一連の動作を、こまかく分析してみましょう。
セーラーのタイが曲がっている=幻想的少女性・処女性の乱れ、崩壊の兆し
↓
お姉さまがそれを直す=処女性を維持させる、他人の性の象徴に直に触れる
↓
「あなたの処女性を独占する」「わたしの処女性を支配される」
↓
友情よりも深い姉妹関係のあらわれ
……どうですか。何気ない所作ひとつに、これだけのエロエロな暗喩がつまっているのです(って、読んだことないんですけど)。
以前行われた、たまごまごさんの企画《ドキドキ男対決》には、「ネクタイをゆるめる仕草にドキドキする」という声が、アタシも含め複数挙げられていました。
制服のリボンやタイも、男性の「フォーマルon←→off」にトキメク原理と同じです。且つ、こちらは「処女性off」を、他人の手が「on」へと押し直すのですから、関係は発展しています。
「不慣れな手で夫のネクタイをしめる新妻」の図に似ながら、背徳な香りが加わってたまりませんね。
セーラー服を脱がさないで!
……っと、制服の話ばかりして、肝心のストーリーについて語ってませんでした。各読みきりについては、こちらの記事が詳しいです。
乙女ケーキ / タカハシマコ(何処かの誰かの何事か with Ctrl+Aが嫌い)
その中の「タイガーリリー」については、たまごまごさんの記事をご参考に。高田文子の「田辺のつる」がお好きな方にオススメです。
タカハシマコ「タイガーリリー」の、終わらない少女感覚(たまごまごごはん)
「百合漫画には興味がない」という方へ。
もしアナタが少女漫画を好きな人なら、そんな先入観は捨てて、お読みになった方がよろしいでしょう。タカハシマコの描く「百合的感情」は、普遍的な少女の感情です。掲載誌が「百合姉妹」でなく「花とゆめ」だったとしても、なんら違和感がない。百合漫画の感情と少女漫画の感情は、線引きできないフワフワした綿アメのようなものなのです。
その感情は百合-乙女ケーキ(真・業魔殿書庫)
アタシはこの漫画に出会えたことで、百合ジャンルに対する不可侵なイメージが払拭されました。
百合は誰の中にも存在する。女の子の中にはもちろん、男の子の中の、アニマ的なものにも。男も女も、かわいい女の子が好きでしょ? なら、ご賞味あれ!
甘美なその味はアナタの心を侵食し、支配することでしょう。乙女ケーキ、それは蜜の味、毒の味。
special thanks たまごまごさん
乙女ケーキ 「女の子と女の子って普通の恋愛より難しい 恋する乙女の複雑な気持ち。」(オタロードBlog )

タカハシマコの『乙女ケーキ』。
「百合姉妹」「百合姫」に掲載された読みきり9本と、書き下ろし1本を収めた短編集です。
とにもかくにも、装丁とタイトルが秀逸すぎる。
モノクロの少女とピンクの下地が、触れれば壊れるような少女性を醸し鎮座ましましてる表紙。「乙女」+「ケーキ」という、漢字とカナの甘い組み合わせ!
自分は、これまで一度も百合モノを読んだことがない未熟者なのですが、これは躊躇せず買いました。なんとおそろしい吸引力。話題になるのもうなずけます。
世界に 女の子は
私だけだと思ってたんだ
―――「あかいかさ、しろいかさ」
作者があとがきで描いてたように、アタシもてっきりエロありかと思ってましたよ、百合姉妹。(タカハシマコはワニマガジンの『冷たいお菓子』しか読んだことなかったし)
開けてみたらば、エロなど皆無。そこらの少女誌より、よっぽど清らかな聖域が広がっておりました。紳士淑女も安心してお楽しみいただけます。
なのに、ストイックを徹底すればするほど際立ってしまうエロス。隠すごとに、にじみ出る艶やかさ。え、えっちぃです。
この矛盾する法則は、百合作品の特徴なのかもしれません。
・同年代の少年に比べて少女の方が性的イメージを喚起させやすい。
しかし同時に性的イメージを消失した記号ともなり得る。
「百合的作品」群から見た少女幻想と、ネバーランド住人たち。(たまごまごごはん)
たまごまごさんのまとめられた、「なぜ少女イメージが際立って浮き彫りにされるのか説」のひとつです(こちらは、2次元少女のアンビバレンツな魅力を的確に説明されてて、必読モノ)。
この定義は、そっくりそのまま〈セーラー服〉の定義にも当てはまるとアタシは考えます。
もってけ!セーラーふく!
百合未経験のアタシを、ジャケ買いするに至らしめたのは、秀逸なタイトルとカラーリング以上に、セーラー服の力が大きい。
表紙を飾る、4人のセーラー少女。3度のメシよりセーラーが大好物なアタシですから、この儚い少女群には惹かれざるを得ません。
――セーラー服。
それは永遠の憧憬。処女性のシンボル。
たまごまごさんが挙げた、生と死、安定と不安定、主体と客体、現実と非現実、すべてのファクターを持ち合わせた魔法の衣が、セーラー服です。
じゃ、ブレザーはどうなんだって?
ブレザーにはセーラーより、生と現実、あと即物的な性の比重が大きい気がします。セーラーは幻想的で、ブレザーは現実的。どちらも実際に制服としてあるのに、そんなイメージありませんか?
『乙女ケーキ』収録の漫画には、その制服イメージが、絶妙な采配で配置されています。セーラー服も、ブレザーもかわいい。小学生の制服もかわいい。必見です。

とくに、セーラーのリボンをほどこうとする図が、たまらなく好きだ。ヘタに露出してる絵より、ずっとエロイ。淫靡。
リボンひとつで、何故こうも卑猥に見えるか? それは、百合を代表する作品『マリア様がみてる』の名セリフから考察できます。
「タイが曲がっていてよ」
お姉さまが、妹の制服のタイを直す、崇高な例の儀式ですね。この一連の動作を、こまかく分析してみましょう。
セーラーのタイが曲がっている=幻想的少女性・処女性の乱れ、崩壊の兆し
↓
お姉さまがそれを直す=処女性を維持させる、他人の性の象徴に直に触れる
↓
「あなたの処女性を独占する」「わたしの処女性を支配される」
↓
友情よりも深い姉妹関係のあらわれ
……どうですか。何気ない所作ひとつに、これだけのエロエロな暗喩がつまっているのです(って、読んだことないんですけど)。
以前行われた、たまごまごさんの企画《ドキドキ男対決》には、「ネクタイをゆるめる仕草にドキドキする」という声が、アタシも含め複数挙げられていました。
制服のリボンやタイも、男性の「フォーマルon←→off」にトキメク原理と同じです。且つ、こちらは「処女性off」を、他人の手が「on」へと押し直すのですから、関係は発展しています。
「不慣れな手で夫のネクタイをしめる新妻」の図に似ながら、背徳な香りが加わってたまりませんね。
セーラー服を脱がさないで!
……っと、制服の話ばかりして、肝心のストーリーについて語ってませんでした。各読みきりについては、こちらの記事が詳しいです。
乙女ケーキ / タカハシマコ(何処かの誰かの何事か with Ctrl+Aが嫌い)
その中の「タイガーリリー」については、たまごまごさんの記事をご参考に。高田文子の「田辺のつる」がお好きな方にオススメです。
タカハシマコ「タイガーリリー」の、終わらない少女感覚(たまごまごごはん)
「私のこと好きなんて言って
だから私になろうっての!?
そんなのただの自己愛じゃない!!」
―――「ショートカット」
「百合漫画には興味がない」という方へ。
もしアナタが少女漫画を好きな人なら、そんな先入観は捨てて、お読みになった方がよろしいでしょう。タカハシマコの描く「百合的感情」は、普遍的な少女の感情です。掲載誌が「百合姉妹」でなく「花とゆめ」だったとしても、なんら違和感がない。百合漫画の感情と少女漫画の感情は、線引きできないフワフワした綿アメのようなものなのです。
その感情は百合-乙女ケーキ(真・業魔殿書庫)
アタシはこの漫画に出会えたことで、百合ジャンルに対する不可侵なイメージが払拭されました。
百合は誰の中にも存在する。女の子の中にはもちろん、男の子の中の、アニマ的なものにも。男も女も、かわいい女の子が好きでしょ? なら、ご賞味あれ!
「キャー!! 泉ちゃん! 見て!!
かわいいいい❤ฺ」
かわいいのはお前だ
―――「ぬいぐるみのはらわた」
甘美なその味はアナタの心を侵食し、支配することでしょう。乙女ケーキ、それは蜜の味、毒の味。
special thanks たまごまごさん
乙女ケーキ 「女の子と女の子って普通の恋愛より難しい 恋する乙女の複雑な気持ち。」(オタロードBlog )
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「少女は少女に、恋して、傷つき、憎しみ、愛する。コミック会の名パティシエが贈る毒入り百合スイーツのお味をご堪能あれ。」(帯より)装丁を見るだけでこれは買いだ!と思い探し回った挙句やっとのことで買いま